ニューヨークの12月、クリスマスの少し前。高層ビル群の隙間でファーマーズマーケットが開かれていることがあり、ふらりと立ち寄ってみると、建物の間を足早に歩き去るビジネスマンたちに混じって野菜や魚、フルーツ(アップルビネガー含む)をゆったりと買い求める人たちがいた。
手作り感溢れるこのユニオン・スクエア・グリーンマーケットには、農家のクラフトマンシップが溢れており、その創造力は見ていて飽きることがない。
このネギのディスプレイはその商品説明の紙質から洗濯バサミ(?)や木箱にと細部に渡って、「この商品が畑から自然のまま最短時間でここへ運ばれてきたことをどれだけ購買者に想像させることができるか」にこだわって作られている。
これを見れば多くの人は、ただネギを食べるだけでなく、ネギの育ってきた環境、自然のエネルギーまでもをそのまま身体に取り入れられることをイメージさせられてしまう。綺麗に選別されて衛生的で科学的なビニールの袋に入れられたネギとは同じネギでも与えるイメージが全く違うものになってしまう。
ネーミングの分野にも、創造性を発揮する余地がまだまだあることを思い知らされる。説明書き部分には、どんな野菜か、どんな料理に使えるか、栄養素の効果・効能が書かれている。
じゃがいも一つとっても種類が多く、それぞれ品種に丁寧な説明書きがつけられている。どうすれば購買者に興味を持ってもらえる説明書きが書けるかの参考になる。
販売するにはいい商品をつくるだけではなく、購買者にそれが伝わるようにするにはどう表現するかという創造力も必要であり、試行錯誤する余地はまだまだあるということを考えさせられる。