合理的ベストクリームソーダ(前編)

クリームソーダ というものをご存知でしょうか。

 

一般的には、「緑色に着色されたメロンソーダにアイスクリームを載せた飲料」で、主に純喫茶やカフェで供されるものです。

 

ちなみに純喫茶を広辞苑で紐解くと、「酒類を扱わず、コーヒーや紅茶などを共するのみの喫茶店」とあります。純喫茶の象徴であり巷のコーヒーハウスやカフェバーとの違いを生み出す唯一の差別化ポイントとも言えるクリームソーダ に言及しないとは、広辞苑の編者はクリームソーダ を飲んだことがないのだろうかと思い調べてみると、広辞苑の編纂者である新村出氏は1876年に生まれ1967年に死没されていました。一方クリームソーダ は1902年、資生堂薬局内に設置された資生堂ソーダファウンテンが起源とされているため、たぶんきっと新村氏はクリームソーダ を知っていたのではないかと推測されます。

 

閑話休題

 

このクリームソーダ なる考えてみれば不思議な飲み物(なぜソーダとアイスクリームをがっちゃんこしてしまったのか)。

個人的にはこれまであまり飲んだことはなかったのですが、会社で「最近流行ってますよねークリームソーダ 」と言われて、それなら調べてみようかなと最終的にいくつかの店舗を回っていろいろ飲み比べてみたのであります。

 

まずはじめに雑誌やネットで調べてみると、最近は緑色以外にも赤や青などバリエーションも豊富になってきているそうで、ふむふむ。グラスやマドラーにもお店のこだわりが現れている、ふむふむ。レトロな感じが若者に受けている、ふむふむ。

 

ちょっと待てこれではぜんぜん材料とか味とかについて情報がないじゃないかと思い、周りにいるカフェ巡り好きな人(きっとあなたの周りにもいますよね?)、もしくはクリームソーダ 好きな人(意外とあなたの周りにもいますよ)に聞いてみたところ、人によって言うことが違います。

 

「どこかクリームソーダ が美味しいカフェとか知らない?」と聞いてみると、みんなてんでバラバラなことを言うのです。しかもあそこのカフェがおいしいとかならまだいいけれど、いつもいく喫茶店でしか飲んだことないとか、あそこの店のオムライスが美味しいなどという蛇足情報をくれる人もいたりと、なんともつかみどころがない。

 

これは自分の足をつかって美味しいクリームソーダ を探しだすしかないと思い立ち、4軒ほど回ったところで(4軒の喫茶店に入り、クリームソーダ だけを注文して飲み終わったらソッコー出るという行為を4回繰り返したと言うことです)まず気づいたのは、どのお店のクリームソーダ も味が違うということ。

 

厳密に言うと、まずソーダの上に載せるアイスクリームの味が店によって違います。バニラビーンズの粒が見えるくらいの本物のバニラアイスを使っているところもあれば、中に氷の粒が入っていて食べるとしゃりしゃりガリガリいうバニラアイスもあれば、こってり濃厚ソフトクリームを載せる店もあります。

 

さらにソーダ部分においても、甘さひかえめなお店もあれば、こってり濃厚シロップを使うお店、スカッシュのように酸味が効いたものを提供するお店もあり、アイスクリームとの組み合わせについては一定の傾向はあるものの(ソーダ部分の甘さがしっかりした店はアイスクリームにこだわりがち)それこそ店によって味が違うのです。

この辺がコーラと違うところ。コーラはどこで頼んでも一ミリも味がブレない。

 

そりゃ店によって味が違うんだから人によっておすすめも変わってくるわけだはははー。と調査もひと段落したところでその報告をクリームソーダフリークの知人にしたことから、クリームソーダ お作法論争の火蓋は切られたのです。(*ここからが本題です)

 

次回へ続く。